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2012年2月 5日 (日)

預貯金の相続について

相続が発生した場合、
金融機関(銀行や信用金庫、郵便局、農協などなど)は、
亡くなられた故人の名義の預貯金口座を、原則として凍結し、
相続人全員の連名で署名押印した払戻請求書がなければ、
個別の相続権者さまの払い戻し請求には、任意には応じない。
そういう金融実務が長く行われてきました。
典型的には、払い戻した後になって、
「法定相続分と異なる内容の遺言書が発見された・・・」
「勝手なことをして!話をつけようと思っていたのに!と、他の相続権者から怒鳴り込まれた・・・」
「寄与分が認められたが・・・」
などといったトラブルが生じることを回避するためです。
背景には、相続権者同士がお互い顔の見える存在で、
話合い、判子を押し合うことが比較的容易な社会が前提とされていたように思います。

しかし、日本国憲法、戦後の相続法のもとで、
金融実務の根拠とされた遺産合有説は力を失い、
戦後、最高裁判例は、この点については一貫して遺産共有説に立ちます。
法定相続分に応じて頭割りで分けてしまえ、という訳です。

この間、社会の中での家族、親戚の姿も、大きく変化したように感じられます。
相続権者同士が、必ずしも、円満に話し合えることが当然
という世の中ではなくなりつつあるのかも知れません。

近年、金融機関の相続貯金についての対応も、
少しずつ変化が見られるように感じられます。
それは、上記のような事情によるのではないかと思っています。

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