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2012年6月30日 (土)

難民 ~ 保護の必要性と難しさ ~ 

日本は、昭和58(1982)年、難民条約を批准しており、
日本国は難民を保護する義務を負っています。

では、「難民」とは、どういった人々なのでしょう。

比較的年齢の高い方々は、「インドシナ難民」という言葉をご記憶ではないかと思います。
昭和50(1975)年に終結したベトナム戦争の結果、
ベトナム、ラオス、カンボジアなどで、社会主義政権が誕生しました。
その結果、主義主張や政治的立場の相違などから、
迫害を恐れて、祖国に住むことが出来なくなった大勢の難民が、
ボートピープルとして洋上をさまようという非常事態が発生したのです。
なかなか受け入れれようとしなかった日本政府は国際的な批判を受け、
インドシナ難民の受入を行って国際社会の一員としての責任を果たすとともに、
それまで批准していなかった難民条約を批准しました。
このインドシナ難民の方々は、一つの難民の典型でしょう。

その後も、実は、
平和国家である日本国に対し、世界中から、難民が保護を求めておられ続けています。
アフガニスタンでの政変と政情の混乱、ビルマ(ミャンマー)での政変と政情混乱
アジアや、アフリカの各国での少数部族迫害などなど。
イスラム教は他教や同性愛を厳しく禁じていますので、そういう難民申請者もおられます。
そして、巨大な隣国~中華人民共和国~からも、・・・。
一つの典型については、以前に書いたブログで書籍をご紹介したところです。
"">ワイルドグラス(NHK出版)

難民条約第1条A(2)によれば、「難民」は以下のように定義されています。
「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に」
「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、」
「国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者」
「またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」
「及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、
当該常居所を有していた国に帰ることができない者」
またはそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない者。」
(上記の訳はUNHCR~国連難民高等弁務官事務所UNHCR条約訳文 のもの。「」は私がつけました。)

この定義通りであれば、もっと難民認定がなされても良いはずなのに・・・。
入国管理局でも、裁判所でも。
私たち弁護士の関与は、多くの場合、
入国管理局において行われる難民不認定に対する異議手続に対する代理参加
そして、難民不認定を取消すべき、などという形の行政訴訟の訴訟代理として行われます。
その各過程や結論に対して抱く印象です。
難民保護に携わったことのある人間多くに共通の感想です。
難民の方々は「命からがら何も持たずに逃げて来た」方々ばかりです。
自分が難民だと示す証拠を揃えて持って来ている人などほとんどおられません。
そういった事情に対する配慮不足を感じることもあります。

更に、国際政治の中で、相手国を刺激したくない。
~難民と認めることは、とりもなおさず、
難民の祖国が迫害する恐れがあると認めることにつながります~
そういった配慮をしているのではないか。
(ここでは敢えて国際政治への配慮をすることの善し悪しは問いません)
そのような印象を抱くこともあるのです。

出入国管理及び難民認定法が改正され、
異議審査への民間人(参与員)の参加が制度化されるなど、
手続的には、改善が図られてはいます。
昨年の難民認定状況を法務省が公表しています。
法務省平成23年難民認定状況
難民申請者1867名に対して、難民と認定されたのは21名。
この状況を、十分と見るか。未だ未だと見るか。
難しいところです。

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