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2012年7月25日 (水)

虐め加害者を出席停止処分にしない理由とは?

リンク: 朝日新聞デジタル:いじめた側を出席停止、10年で23件 低調な適用 - 社会.

上記の報道で、私が特に引っかかった点は、
~「強硬策は解決を遅らせる」と懸念の声もある。~
とするところです。
深刻な虐めが犯罪であり、被害者を死に至らしめる場合もあることを前提にするとき、
「出席停止」をもって、「強硬策」などと大げさに評価すること自体どうなのでしょうか。
更に、
「解決を遅らせる。」と懸念される方々の「解決」とは、
どのようなものを想定しておられるのかうかがってみたい気がします。
被害者は、「死」の淵に立たされているのです。
あるいは幸いにして最小限の被害に食い止めたとしても
「生涯忘れられない心の傷」を負うのです。
その傷は、虐めが続く限り、
日々、深く、心をえぐるように刻まれ続けるのです。

では、出席停止処分とは、どういうものなのでしょう。
ここでの出席停止処分の根拠法は、少年法などではなく、学校教育法です。
学校教育法は、第35条において以下のように規定し、49条でこれを中学校に準用しています。
第三十五条  市町村の教育委員会は、次に掲げる行為の一又は二以上を繰り返し行う等
性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、
その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。
一  他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為
二  職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為
三  施設又は設備を損壊する行為
四  授業その他の教育活動の実施を妨げる行為
○2  市町村の教育委員会は、前項の規定により出席停止を命ずる場合には、あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。
○3  前項に規定するもののほか、出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定めるものとする。
○4  市町村の教育委員会は、出席停止の命令に係る児童の出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとする。

他の児童(生徒)に心身の苦痛を与える行為を繰り返す場合には、
教育委員会は出席停止処分を下すことができることは、法律で明記されているのです。
ここでなされるべきなのは、「いじめかどうか」「喧嘩ではないのか」などという曖昧な議論ではなく、
「他の児童生徒に心身の苦痛を与える行為」を繰り返すかどうかである点、気をつけて頂きたいと思います。

つまり、
~いじめの認定が難しい~などとする上の報道は、法律解釈の態度として疑問があります。

また、学校教育法は、出席停止期間の学習支援についても
規定を設けています(第4項)。
~出席停止中の学習支援が困難~とする報道にも、
誰にとって何の困難なのか?と、首をかしげたくなります。

出席停止という形での、被害者と加害者の物理的な「隔離」は、
必要であり有効な場合が多いのではないでしょうか。

更に言えば、ずいぶん以前から、学校は、
人間性善説に塗り固められた夢を捨てるべきときが来ていたのではないでしょうか。
(残念なことですが)
事実を直視すべきです。

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