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2012年7月15日 (日)

軽犯罪法の威力~那智の滝登った容疑で逮捕・著名クライマーら3人

リンク: 那智の滝登った容疑で逮捕 著名クライマーら3人 - MSN産経west

報道によれば、このクライマーの行動は、いかにも非常識&不遜な行動です。
しかし、非常識だというだけでは、警察は人を逮捕することはできません。
逮捕するためには、犯罪を犯した嫌疑が必要です。
どういう犯罪の嫌疑で著名クライマーを逮捕することが出来たのか・・・
住居侵入罪(刑法130条)は、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、
建造物若しくは艦船に侵入し・・・た者」に対して「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」を科しています。
しかし、「那智の滝」は、自然のものであり、「住居」とも「人の看守する邸宅、建造物」とも異なりそうです。

では、いったい何法違反で逮捕を?
即答できたあなたは、相当に警察活動や法秩序に詳しい方です。
そう。
「軽犯罪法」です。
「軽」などという語感から侮ることなかれ。
この軽犯罪法は、社会秩序維持のため、
また、警察活動の根拠として、
大変な威力を発揮している法律なのです。

軽犯罪法の全条文を以下に貼り付けておきます。
うっかり犯罪を犯したと疑われないためにも、
一度目を通してみておかれることをお薦めします。
(http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/strsearch.cgi より)

第一条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
一 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に
   正当な理由がなくてひそんでいた者
二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、
 又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
三 正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに
 使用されるような器具を隠して携帯していた者
四 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、
 一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
五 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、
 入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で
 乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
六 正当な理由がなくて他人の標灯又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合する場所に設けられた
 灯火を消した者
七 みだりに船又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為をした者
八 風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、
 正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、
 又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者
九 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、
 又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
十 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、
  又は発射した者
十二 人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、
  又はその監守を怠つてこれを逃がした者
十三 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、
  又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは
  割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に
  関する証票を得るため待つている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者
十四 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し
  近隣に迷惑をかけた者
十五 官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを
  詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の
  標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者
十六 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
十七 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名、住居、職業
  その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
十八 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは
  死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
十九 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者
二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、
  ももその他身体の一部をみだりに露出した者
二十一 削除
二十二 こじきをし、又はこじきをさせた者
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような
場所を ひそかにのぞき見た者
二十四 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者
二十五 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、
若しくはこれをさせた者
二十七 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
二十八 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、
  又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
二十九 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした
  場合における共謀者
三十  人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者
三十一 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者
三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者
三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を
  取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
三十四 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は
  誤解させるような事実を挙げて広告をした者
第二条
 前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。
第三条
 第一条の罪を教唆し、又は幇助した者は、正犯に準ずる。
第四条
 この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。

軽犯罪法違反の場合に科せられる刑罰は、
拘留・・・1日以上30日未満の自由刑
科料・・・1000円以上1万円未満の財産刑
(軽犯罪法第1条)です。
この法律違反だけで何年も刑務所に入る訳ではありませんが、
被疑者として逮捕・勾留(取調期間中の身体拘束。
逮捕72時間以内+勾留原則10日+再勾留10日)
することも可能ですから、捜査機関がその気になれば、
かなりの期間身体拘束をして外に出さないことも可能な作りです。

この報道のクライマー達は、軽犯罪法第1条第32号
「入ることを禁じた場所」又は他人の田畑「に正当な理由がなくて入つた者」に
該当すると判断されて、逮捕されたものと思われます。

社会生活を送る中でも、例えば、
1)路や公園でたんを吐く・・・26号違反に問われる恐れが極めて高いです。
2)誇大広告・・・34号違反とされる恐れがあります。
3)ナイフを鞄に入れて持っていた・・・2号との関係で、
正当な理由(例えば護身用だったかどうか)の有無が問題になるでしょう。
4)ドライバーを鞄に入れて持っていた・・・3号との関係で、
正当な理由(例えば家でドアを修理するため持ち帰る
とこっろだったか等)の有無が問題とさえっることになります。

警察官は、警察官職務執行法に基づき、
例えば深夜徘徊する不審人物に職務質問を行います。
その職務質問を行う上で、この「軽犯罪法」違反の疑いや、
様々な条例(例えば公衆迷惑条例)違反の疑いがあることは、
絶大な威力を発揮しているのです。

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