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2012年9月13日 (木)

「被告に必殺仕置」書いた弁護士報道に思う~格闘技型訴訟観の限界

「被告に必殺仕置」 書面に書いた弁護士に戒告処分

9月13日付の上記のWeb朝日の報道を読んで
驚かれた方も多いのではないでしょうか。
「被告の所業は、吐き気を催すほど醜悪な最低最悪の暴挙・蛮行」
「必殺仕置しなければならない」などと記載した」という報道が事実だとすれば、
大変残念なことだと思います。
(何か特別な事情があったのかも知れませんがそこはさておきます)

不必要に過激な、激烈、下品な表現という間違いを犯す例は、残念ながら過去にもあります。
弁護士会の懲戒処分云々の問題が発生することはもちろん、
公開の法廷で陳述された書面は、「おおやけに言い放たれた」ものとして、
名誉毀損の成否が争われることも決して珍しいことではないのです。

どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。

弁護士の仕事は、「けんかの代理人」的な側面があります。
依頼者のお話をうかがい、感情を移入して仕事をすればするほど、
不必要に過激な、場合によっては、下品極まりないような表現をしてしまう。
また、ご依頼者の側が「もっと過激な表現で相手を攻撃して欲しい」と
強くお求めになる場合もあります。

弁護士が訴訟活動を行うスタイルとして、
私は従来から、以下の2つモデルを分析概念として提案しています。
1)格闘技型訴訟観
訴訟を、例えばボクシングのような格闘技と捉えます。
訴訟活動は、訴訟の相手方を徹底的に叩きのめすことに主眼が置かれることになります。
ここでは、裁判官は、レフェリーという位置付けになります。
2)プレゼン型訴訟観
訴訟を、原告被告の双方が、裁判官に対するプレゼンテーション比べ、説得比べと捉えます。
訴訟活動においては、「裁判官がどういう印象を持つか」ということに比重が置かれます。

多くの戦闘的弁護士は、
1)の格闘技型訴訟観に基づき活動し、ときに激烈な表現を用います。
しかし、
裁判において判決を下すのが裁判官である以上、
2)のプレゼン型訴訟観は、決して忘れてはならないものです。
「中立の第3者」である裁判官が、
一方当事者の代理人弁護士による、あまりに過激な、
激烈な表現や訴訟活動に触れて、どのような印象を抱くでしょうか。
過度に興奮したものを見聞きした場合、「引いてしまう」のが一般的な人間心理です。
「品がない」→「信用がおけない」。
あるいは、根拠が薄い分過大な表現で補おうとしているのではないか。
そのような印象を抱かれてしまい、
結局、敗訴判決という不利益な結果を招きかねないのです。

弁護士として自戒の念をこめて。

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