カテゴリー「書籍・雑誌」の9件の記事

2013年11月20日 (水)

読書日記~最後の夏(山際淳司)

ふとしたきっかけで、山際淳司氏の遺作、最後の夏を読んだ。

1973年(昭和48年)といえば、川上巨人が9連覇した最後の年。

山際の筆は、東京の風景、世界の情勢などを織り交ぜながら、

この年のペナントレースを追いかけている。

阪神タイガースが、田淵、江夏らの技量もあり、あと一押しで優勝

というところまで迫りながら、内紛的な要素をはらんで、

甲子園球場での対巨人・最終戦で完敗を喫して優勝を逃す。

この本に書かれていることは、ただの野球とは思えない・・・。

いや、むしろ、野球とはここまで深みがある・・・というべきなのか。

最高のスポーツノンフィクション作品を味わうことが出来ました。

山際氏が「鳩よ!」に1993年から翌年にかけて

連載された「流転の夏」を改題し、95年に出版された、

まさに山際氏の遺作です。

Saigononatu

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2013年1月 6日 (日)

読書日記~国難・石破茂

石破茂氏の「国難」 。

自民党政権誕生ということもあり、読んでみました。
平成24年末の解散総選挙が決まるかなり以前、昨年夏の出版です。
しかも 石破茂氏がかねて書きためた持論などの原稿に拠る部分の多い、
密度の濃い著作物と感じました。
自民党政権の、とりわけ、国防、農政という 国家の根幹に関わる分野での
一目置かれる人物の書として、
今後の自民党政権を行く先を読む意味もありそうです。
自民党が下野した当時の同党の活動、
同党の新綱領の内容などにも触れられています。
下野時代の自民党が石破氏を陣頭に、
TVのバラエティ番組でも何にでも、自ら押しかけて
とにかくマスコミに露出していく戦略を採ったこと、
石破氏自身、論理的に物事を突き詰めて検討し、
反対説を徹底的に研究し全て論破できる確証をえてからでなければ
自説を政策として口にしないことにしていることなど、
凄みを感じる話が紹介されています。
学ぶところの多い書物だったと思います。

この国をよりよいものとするために、何を議論し、何をすべきなのか。
私も、今まで以上に、よりいっそう考えて行こうと思います。

*なお、私の政治的信条や支持政党、個々の政策については、
ここでは触れるものではありません。
ご了承下さいますようお願い致します。

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2012年11月14日 (水)

読書日記 ~ ダライラマ14世 ~ 般若心経入門

ダライラマ14世の来日がマスコミに報じられています。

ダライラマ14世来日~中国刺激の可能性~朝日
私自身、ダライラマ14世のことを知りたいというよりは、
仏教のことをより理解したいという気持ちから、かなり以前に、
ダライラマ14世の数ある著作の中で、
~般若心経入門~を読みました。
結論から言えば、単なる教義の解説を超えた、
多くのことを学ぶことが出来たと思っています。

信教の自由、内心の自由。いかに大切なことか。
このブログでは記すことを控えますが、
ダライラマ14世の存在が提起する問題は、
とても重いものと思います。

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2012年10月21日 (日)

読書日記~現場主義のリーダー論~コリン・パウエル「リーダーを目指す人の心得」

コリン・パウエルといえば、
アメリカ史上最年少で統合参謀本部議長に上り詰め、
その後、アメリカの国務長官を務めた人物です。

コリンパウエルが書いたビジネス書ということで手に取ってみました。
彼の現役軍人&政治家としての評価は様々なものがあると思います。
(とりわけイラク戦争に対する関与)

しかし、ジャマイカ移民2世として、ペプシコーラ工場の清掃の仕事から身を起こした人物。
やはり、組織人として、組織のリーダーとして、何を行うべきであり、いかにあるべきか。
そういった観点からの記述には、大いに示唆に富むものがありました。

中でも、コリンパウエルが、
徹底的な現場主義を唱える点は、やはりさすがだなと思えるものです。
本書の章立ての中にも「現場が正しくスタッフが間違っている」との項目があります。
パウエルは、自らが率いる組織における「現場からの情報」が遮断されてしまわないように
例えば、組織や機構を改革する、中間管理職のスリム化などを行うほか、
執務室のドアは常に開け放つ。
散歩に出るルートや時間を安定させ、自分をつかまえて話がしたい人がいたら
散歩中に声をかけることが出来るようにする。
自らまったく抜き打ちで兵舎を訪問する。
あるいは、ビルの地下車庫を突然訪問し、車の入出庫を管理する掃除夫達と話し込む。
等々といった様々な手立てを講じます。
あらゆる組織のリーダーにとって、参考にすべき姿勢と思います。

Korinn

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2012年10月19日 (金)

読書日記 ~ 野中広務 差別と権力 ~ 魚住昭

大阪市長の出自を巡っての朝日新聞系週刊誌(週刊朝日)報道が物議を呼んでいるようです。

不法団体と一緒だと批判
書き方も低俗~近畿大教授コメント~
週刊誌編集長が謝罪コメント 
週刊朝日連載打ち切りへ

私は、これを報じる新聞報道を読む限り、週刊朝日の記事を読む気すらしません。
このような問題が起きてしまうこと自体に、とても残念な気持ちを抱きます。

同和問題を理解するために、どういった書籍を読めば良いだろうか。
何年も前のことですが、私が問うた際に、皆が信頼するある先輩が教えてくれたのが、

野中広務 差別と権力 魚住昭著 講談社 でした。

野中広務という一時代を画した大政治家の半生
~サクセスストーリーと挫折の繰り返しでもあります~を追う
魚住昭のジャーナリストとしての腕はさすがのものです。
魚住昭の目を通してではありますが、被差別部落や同和問題についても
理解を深めることが出来る好著と思います。
京都府議会議員時代の野中広務が蜷川京都府知事を
議会で厳しく追及するくだりなど、圧巻です。

何より、この書籍を読んだ読者は、野中広務という政治家を、
より肯定的に評価するようになりこそすれ、否定的な評価要素としては
働かないだろうと感じさせる書きぶりになっています。

そして、書籍末尾で、野中広務氏が著者に対して
「君が書いたことで自分の家族がどれほど辛い思いをしているか知っているのか。
そうなることがわかって書いたのか」旨厳しく追及する場面が紹介されています。

何かのご参考になればと思いご紹介します。

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2012年9月30日 (日)

歴史探訪 ~ 適塾 ~

私の事務所から南に歩くこと10分弱の街中に、
幕末の蘭学者・緒方洪庵が開設した「適塾」があります。

適塾は、その後の大阪大学の源流の1本になったとか。
大阪大学の以下のサイトが、適塾のことをしっかり紹介しています。
大阪大学のHP~適塾~
こういった沿革が、大阪大学が理系中心・医学部中心といわれる学風を残す所以でもあるのでしょうね。

歴史好きにとっては、適塾で学んだもの達、・・・
大村益次郎、福澤諭吉、橋本左内、、長与専斎、佐野常民、高松凌雲などなどの人材の、
幕末から明治維新にかけての活躍ぶりは驚嘆です。

進取の気風、移住闊達な研究と議論、緒方洪庵の適塾は、
そういったものに満ちあふれていたのではないでしょうか。

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2012年8月21日 (火)

地球温暖化を食い止めよう~残暑に思う

みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
私の事務所は大阪高等裁判所に近く、
大阪の街中にあるのですが、
今日も厳しい残暑が続いています。

地球温暖化の影響も、ヒートアイランド現象の影響も、
両方あるのだろうと思います。
特に都市部での夏の暑さは、年々厳しさを増しているように思います。

気象庁サイト
気象庁によれば、
「日本の年平均気温は、長期的には100年あたり約1.15℃の割合で上昇しており、
特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています。」
・・・とのこと。

1990年(平成2年)といえば、この年の3月末に、
大蔵省銀行局長通達が出されて不動産融資総量規制が開始。
バブル崩壊の号砲が鳴り響いた年でもあります。

気象庁は世界的な年平均気温の推移も公表しています。
気象庁サイト(世界)
「世界の年平均気温は、長期的には100年あたり約0.68℃の割合で上昇しており、
特に1990年代半ば以降、高温となる年が多くなっています。」
とのことですので、やはり世界的に暑くなっているようです。

数年前、
アメリカ副大統領であり大統領候補だった
アル・ゴアが、「不都合な真実」を世に問うて、
地球温暖化に警鐘を鳴らしました。

自然を破壊しすぎたのではないか・・・。
今でも、神社の境内、古木の木陰は驚くほど涼しいのです。
土と緑があるだけで、全く異なることは、皆知っています。

今から出来ることをしなければ。
今日も暑い大阪の街中で、そう思います。

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2012年6月 6日 (水)

読書日記 ~ 「トッカン」 税の話 国税徴収法 ~

新聞記事をきっかけに、新聞記事
今話題の「トッカン」(高殿円著・ハヤカワ文庫)を読んでみました。

読み物として、とても面白かったです。
井上真央さん主演でドラマ化日テレもされるとのことですね。

私が弁護士になって最も驚いたことの一つに、
税務調査のあまりに強力であることと、
税務徴収のあまりに強固なことがありました。
「国税徴収法」という、この書籍の登場人物をして
「日本最強の法律」と言わしめる法律がなせる技なのですが、
犯罪捜査において警察権力ですら裁判所の令状を取らなければ
できないようなことを、国税当局は、平然とやってのけ、
また、逆に、現場では、~滞納処分の停止~など、
人情味のある温情采配が行われていることの紹介もなされています。

あくどく稼ぎ遊び暮らす脱税犯の隠し財産を、
あっと驚くような手法で差し押さえ、支払わせる手際の良さには、
心から拍手喝さいです。

そして・・・
本当に、仕事に生活に行き詰って納税できない人たちの存在。

企業や個人のバランスシートが痛んできた場合、
私たち弁護士がしてさし上げられることは負債の軽減です。
最もドラスティックな負債整理の手段としては、破産手続があります。
しかし、破産しても、
税金は免責(つまり借金棒引き)の対象外とされているのです。
この本に出てくる、何度も破産を繰り返しながら
赤字経営を続けながら、消費税を滞納し、
健康保険料も払えずに自殺をはかるご夫婦・・・
税務署からの督促に苦しむ町工場は、下町の現実の姿です。

この本で紹介されているような、血の通った国税徴収が行われることを
(行われていることを)切に願います。

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2012年5月 8日 (火)

読書日記~特に裁判の公開、報道の自由に寄せて

この連休、幸徳秋水事件(いわゆる大逆事件)を扱った
田中伸尚氏の著作(岩波書店)を読みました。
戦前、幸徳秋水ら大勢の社会主義者・無政府主義者が
死刑とされたこの事件、歴史上の出来事としては有名です。
近時の研究の進展に伴い、冤罪だと指摘する声が高まっています。
例えば日弁連は昨年会長談話を発表しています。日弁連サイト
この本は、冤罪説に徹底して立つもので、
そこは評価が分かれうるかも知れません。
また、私自身は保守的な人間ですので、
幸徳秋水らとは、思想的にも全く異なります。

ただ、当時も今も、冤罪を生む温床が、
捜査当局による強引な供述の獲得と供述調書にあることなど、
今の時代にも十分通用する教訓を我々に与えてくれます。
特に、私は、
この裁判が、一審制(大審院特別刑事部)であり、
非公開とされ、弁護人側が申請した一切の証人の採用がなされず、
1ヶ月ほどの審理をしただけで20数名に死刑判決を下し、
死刑判決後、1週間ばかりの間に速やかに刑が執行されていることに
戦慄を覚えました(12名は特赦)。
被告人が、弁護人が、何を叫ぼうと、どんなに叫ぼうと、
裁判を非公開とされてしまっては、黙殺することが出来てしまう・・・。
「裁判の公開」ということがどれだけ大切か、歴史が教えてくれています。
無実の人を処罰することを防ぎ、権力の暴走を防ぐ。
国家のため、国民のため、あらゆる人のために必要なことでしょう。
司法関係者、裁判官、検察官、
そしてとりわけ弁護士の職責が重大であることは言うまでもありません。
そして、更に、マスコミ~司法記者達に委ねられた職責は、とても大きいのです。
健全な弁護活動・法廷活動と、批判精神に溢れた健全なジャーナリズムの大切さ。
そんなことを考えさせられました。


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